「GODZILLA 怪獣黙示録」読書感想文
カタルシス・・・からの…
シン・ゴジラからこっち、「ゴジラ」そのもののありようも変化したような気がしている。そこを語り始めると相当長ったらしくなるのでやめておく。
最近、シンゴジの翌年に公開されたアニメのGODZILLA三部作に、前日譚の小説があることを何かで知り、通勤電車でぶらぶら揺られながら読んでみた。
最恐のゴジラ登場! |
アニゴジ映画三部作の一作目、「GODZILLA 怪獣惑星」では、あまりに最強最恐なゴジラに度肝を抜かれたもんだけど、そんなゴジラが登場する前後のおはなし。
色んな怪獣が出てくるのも楽しく、あちこちに東宝特撮シリーズへのオマージュ(マニアック度高い)が散りばめられていて、知っている人はニヤニヤしちゃうけど、別に知らなくても文章的に全く問題ないので、老若男女が楽しめる一冊となっている。
読んでみると、怪獣の強さっぷりに打ちのめされていく人類が、何ならカタルシスを覚えちゃうくらい爽快に敗れまくっていくんだけど、章を追うごとに自分自身がその絶望の渦に飲み込まれていくような変な没入感が生まれてきて、自分がこの物語の中にいたらやだなー。という、ど面白くもない感想を持つに至るのであった。
「黙示録」とは新訳聖書の最後に載っている、世界の終末を預言する部分なんだけど、まさにこの書は「怪獣黙示録」そのもの。ただし、そこで語られる人間模様は一様ではなく、滅びゆく黄昏の秋を迎えてなお、人とは何をもって人たらしめるのか、ということを、絶望の淵に立たされるからこそ考えさせてくれる。
人とは、人間とは、生きるとは、国とは、国家とは。そんなことも考えながら読んでみると、ゴジラファンならずとも、随分と楽しめる一冊なんじゃないかな、と思う。
電子書籍も。 (使った事ないけど) |